コンセンサスブックについて
日南・串間医療圏は高齢化が進んでおり、医療と介護の連携が重要な課題となっています。
「入退院調整コンセンサスブック」は、要介護状態の方が入院し、自宅や施設へ退院する際に、病院とケアマネジャー(ケアマネ)が確実に情報共有を行い、安心して在宅療養につなげるためのルールをまとめたものです。
ねらい・目的
これまで病院とケアマネの間で情報共有が十分でなかったため、患者や家族が退院時に困難を抱える事例が見られました。
このブックは、こうした課題を解決するために、入院から退院に至るまでの情報共有をスムーズに行い、在宅や施設への移行を円滑に進めることを目的としています。結果として、患者や家族が安心して療養生活を送れるよう支援します。
策定の経緯
本ブックは、厚生労働省モデル事業に基づき、地域内の病院・地域包括支援センター・事業所・施設のケアマネなど約100名と、地域アドバイザー木佐貫篤先生(県立日南病院 医療連携科部長)による協議を経て策定されました。
その後も運用を通じて出てきた課題を解決しながら改訂を重ね、より良い連携につなげています。 地域住民が最期まで自分らしく暮らし続けるための地域包括ケアシステムの一環として、このコンセンサスブックをご活用ください。
様式集
コンセンサスルール
入退院時の確実な情報共有を実現するために、病院とケアマネが守るべき6つのルールを定めています。
- 入院事実の早期共有
利用者が入院したことを、ケアマネと病院で早期に把握・共有する。 - 入院時情報提供
ケアマネは入院から1週間以内に病院を訪問(またはFAX等)し、入院前の生活状況を提供する。 - 入院診療計画の共有
病院は入院初期に治療計画や入院期間の見通しをケアマネへ伝える。 - ケアマネ未決定時の対応
ケアマネがいない患者については、病院から地域包括支援センター(または居宅介護支援事業所)へ連絡する。 - 退院前カンファレンスの実施と参加
病院は早めに日程を伝え、ケアマネは可能な限り参加する。 - 退院に向けた継続的情報共有
退院予定日や在宅での留意点を早めに共有し、転院時も必要な情報を確実に引き継ぐ。
運用と改善の取り組み
コンセンサスブックは策定して終わりではなく、現場で使いながら改善していく仕組みです。
平成28年度から毎年アンケートや意見交換を通じて効果検証を行い、病院とケアマネ間の情報共有割合は大きく改善しました。円滑な在宅移行や退院後支援につながる事例も多く報告されています。
今後も定期的な検証と協議を続け、PDCAサイクルを回しながら「入退院調整コンセンサスブック」を進化させていきます。
